紫陽花革命

Twitterで昨日の「紫陽花革命」の拡散ツイートがたくさん入ってきました。
先週15日金曜、大手メディアが無視した1万2千人の首相官邸前の抗議行動、そして野田首相大飯原発再稼働正式表明から一週間。
民衆の怒りは新たなうねりになって、昨日18:00〜東京は首相官邸前、大阪は関電本社前で再稼働撤回行動をしよう、その行動を名づけて「紫陽花革命」、と個人が個人へ呼びかけてきました。
これは先週のデモを伝える赤旗の記事
首相官邸前のデモは4万5千人。
6月を象徴する花、紫陽花のように、力が一つ一つ集まって大きな力となるように、という思いが込められているようです。
Twitterでデモの動画をチェックしていると、「志位だ!」とツイートが何人かから入ってきて、「おっ」と思ってチェックを続けていると、同じ人から「川田龍平議員です」と(笑)うちの党首は呼び捨て(笑)
昨日のデモは、テレビでは唯一、報道ステーションが11分にわたり報道。
「再稼働反対」の参加者の声が官邸の中からも聞こえる、と、官邸内から映像を流し、枝野大臣、細野大臣に「このデモについてどう思いますか?」と突撃インタビュー。枝野さん「・・・」細野さん「急いでますので」
マスメディアの成せるワザの一つでした。
さて、昨日で6月議会が終わりました。
時を同じくして、大飯原発再稼働が大きく動いたこの議会。
閉会日の21日、私を含めた共産党の議員全員の発議で、野田首相に対する「大飯原発再稼働を撤回し、原発ゼロの政治判断を求める意見書」を提案しました。
意見書案の要旨は以下の通りです。
福島の事故とそれ以降の現状をみれば、いったん事故が起きれば取り返しのつかない被害をもたらすことが誰の目にも明らかで、原発を安全に動かす保障がないからこそ、国民世論の背景もあり、今年5月5日以降、全国のすべての原発が停止している。
野田首相は、大飯原発3・4号機再稼働の判断をしたが、国会事故調査委員会委員長は「調査報告を待たずになぜやるのか理解できない」と疑問を投げかけた。防災担当大臣は国会質疑の中で「(福井に存在する)断層を考えると地震の可能性はさまざまにあり、分析の途上だ」と修正。一方経済産業大臣は「再調査の必要はない」と答弁するなど、野田首相の再稼働判断は、政府としての責任ある判断になりえない。
大飯原発再稼働ありきで、国民に新たな安全神話を押し付け、国民の命を危険にさらす最悪の判断は、すみやかに撤回すべきである。
もともと原子力発電は、現在の技術水準ではコントロールできない。安全な原発の実現が不可能であることは明確である。
原発からの撤退を決断し、再生可能な自然エネルギーの戦略を確立することこそ、日本の将来の安全な進路であり、国民の声に応える道である。
採決の結果は、
共産党とほうれんそうの会の議員が賛成、平成3クラブ・民主フォーラム・公明党が反対。賛成少数で否決となりました。
意見書案に対して、共産党から藤本議員が
「日本国内に原発が造られて40年近く。国策として、安全でクリーンなエネルギーとうたい造られてきた。しかし、福島の事故以降、九州玄海原発設置前の住民説明会で住民の不安を押しのけるために。九電の社員にメールを送り、安全・クリーンな原発をと大合唱させていた、ということなどが明らかになった。事故直後、アメリカ政府は自国民に80km圏内からの避難を発令した背景に、アメリカ政府が調べた放射能被害地域の分布地図を日本政府にも送っていた、なのに住民に公表しない。
クリーンといわれながら、原子力発電所で使った燃料棒は、最終処分も、処理の方法もまったく決まっていない。六ヶ所村の仮貯蔵場でも治まりきらないから、原子力発電所の中で、使用済み核燃料をそのまま管理している。そういう意味では、安全の手立ては早急にとらなければならいという課題もある中での野田首相の再稼働判断。しかし、野田首相は「私の責任」とは言うが「政府の責任」とは言っていない。事故が起きた際の政府の対応がまったく不明のままといわざるを得ない」
と賛成討論をしました。
反対議員から理由を述べる討論はありませんでした。
長岡京市の議会は、議員発議で意見書案や決議案を出す際には、前もってすべての会派に、会派所属議員が発議者になるかどうか呼びかけ、案文に対して意見を求めます。どの会派が提案したものであっても、意見を交換する中で文面に加筆や修正を加えるなど、市議会としてより多くの賛同が得られるよう、お互いに努力をします。
原発問題は、いま国論を2分していて、どのような道を選んでいくかは、国の形も大きく変える問題です。
しかし、福島県の約8割の自治体の議会が原発廃炉の決議や意見書を採択したそうです。
この福島の声に呼応する発信を長岡京市からもしたかった。
これからも、市民の命と生活を最優先にする立場で議会が発信をしていくことをめざしていきたいです。
私は、一般質問のテーマの一つで、市長に再稼働に対する姿勢と放射能汚染から市民を守る対策について取り上げました。
再稼働については、
京都府滋賀県の両知事が共同で提言した「事故防止と事故発生時の安全性について、国民的理解が得られていない」との立場をふまえれば、止まっていても危険な原発をわざわざ稼働させるのは、危険性をより高くするようなもの。
②再稼働問題は、安全性とそれに対する国民的合意にもとづく議論が必要で、電力問題とは切り離して考えるべき。
と大きくはこの2点に対して、市民の命と安全を最優先する立場で、市長に再稼働してはならない、と政府や福井県への要請を求めました。
市長の答弁は、
京都府市長会(小田市長が現会長)で「福島第一原子力発電所事故から得られた科学的知見を反映した安全基準の設定」「中立的な第三者機関のもとでの安全確認が行われる仕組みの構築」などを内容とする決議を行って、原発の安全性を強く求めた。
市民の皆様の信頼を得るために暫定的ではない明確な規制基準の制定や特別な監視体制への京都府の参画が必要であると考えており、安全で安定して供給できる将来のエネルギー政策の構築も含めて政府に強く求めたい。
というものでした。
国は、免震事務棟も、防潮堤もまだできていない、原子炉内から放射性物質を拡散させないようにするフィルターもない、避難経路の確立も周辺自治体への安定ヨウ素剤の確保もできていない、まさに、何一つ、福島レベルの事故の教訓に基づいた対策をしていないのに、「安全」だという。
長岡京市民の使っている府営水の源流も福井県から35Kmくらいのところにあったはず。
市長は、野田首相の再稼働表明について、
重い判断。免震棟・防潮堤については懸念に思う。市長会での対応が必要」といった主旨で答弁されたように思います。
文字に起こすと、淡々としたように感じますが、今後さらに、原発の問題は、深く長岡京市に関わります。
何度も何度も、市に自らの意見を述べ、一致できる点をつくっていきたいです。
再稼働とあわせて、放射能から市民を守る対策として、
①被災地がれきの受け入れは、住民合意が得られるだけの安全性が確立しない状態での実施は行わないよう、乙訓環境衛生組合・乙訓2市1町の首長の一人として見解を。
②福島の原発事故が起き際、発生とその規模、事故により放射性物質が外部に放出された時の拡散予測に関する情報をいち早く把握し、市民にすみやかに伝達できること。すべての市民が投与できる安定ヨウ素剤の確保。放射性物質が拡散していない地域への避難経路や避難手段の確保。などの対策がなかったため、多くの住民を被曝させてしまったことを教訓に、市の防災計画ではどのような見直しを検討しているか。
を問いました。
がれきついては、
被災地の本格的な復興のためにこの問題の解決が必要としつつ、市民が不安を抱いていることも事実とし、大量のがれきが残されていること、地域によって放射性物質の含有量が違うと思われるので慎重に対応しないといけない。国の責任で市民の納得できる安全基準や放射線量測定などの体制を整え、自治体の廃棄物処理業務への影響などについて十分な調査研究のもとに、市民のコンセンサスが得られることが必要。
というものでした。
市民合意が大前提、という立場での答弁だったのではないかと感じます。
防災計画の見直しについては、
市防災会議の原子力災害対策作業部会で、府北部からの住民受け入れ体制の検討、長岡京市原発災害のの影響がある場合の市民への情報伝達手段、屋内退避場所の確保、安定ヨウ素剤の入手方法などを検討する。京都府は、長岡京市はUPZ(緊急時防御措置を準備する区域)とされる30Km圏内ではないが、防災対策を重点的に充実すべき地域と位置づけている。(なにしろ、風向きによってはヨウ素が24時間で50ミリシーベルト拡散する予測も出ています)
安定ヨウ素剤は、今年度中に30Km圏内には備蓄が予定されていて、長岡京市でも拡散予測の情報をつかみ必要に応じて備蓄の要望をしていく。
というものでした。
検討していくものをあげてもらっただけで、原発事故を長岡京市に照らして考えたら、やっぱり再稼働なんてあり得ない、と実感します。
防災計画は今年度中に見直しをかけて、パブコメも行われます。
そして、もう一つ、今年度の早ければ2学期から始まる学校・公立保育所の給食用食材の放射性物質測定。
長岡京市は、京都府内でもいち早く独自で測定機を購入して市の職員さんが測定する予定です。
3月議会で質問したときは、給食を子どもたちに提供した後の測定を検討していましたが、今回の質問で、市役所内での検討を重ねた結果、可能な範囲で調理前に測定する、と答弁がありました。
調理前測定を検討している食材は、魚・肉から1品、野菜類などから1〜2品ということでした。
私自身は、牛乳、赤ちゃんの粉ミルクは事前測定が十分に可能だし、子どもたちが毎日飲むものだからぜひお願いしたい、と求めましたが、
行政による放射性物質の測定結果の確認とメーカーが自主検査をやっているので事前の対象にせず、他の食材とのミックスでの事後測定ということでした。
また、気になる、提供するかどうかを決める放射線量の数値基準。
国は、事故が起きてからの1年は一般食品500ベクレル/kg以上は出荷および流通させてはならないとする暫定規制値を設けていましたが、この値は、核戦争などで汚染された地域で飢餓が起きないよう3ヶ月間設定される数値だそうで、どれほど高い数値であったかがわかります。
それを今年の4月から一般食品100ベクレル、乳児用食品50ベクレルまで下げたのですが、ドイツ放射線防護協会では、青年期までの子どもには4ベクレル以上の飲食物は摂らないよう推奨しています。チェルノブイリの事故で大きな被害を受け続けているウクライナベラルーシでは、健康に生まれてくれる新生児はたったの15%。子どもたちの多くも甲状腺がんや心臓疾患で苦しんでいます。そうした地域でさえ、37ベクレル、40ベクレルといった規制値です。
家庭で食べる食材の数値に対する判断は家庭によって異なるでしょうが、給食の食材は保護者が行政に委ねているのですから、できる限り、放射性物質を体内に取り込まないようにする努力をしてほしい、そのために、市が購入する測定機で検出できる下限値を判断基準にすることが、給食の安全をより確かなものにするものではないか、と問いました。
答えは、乳児用食品の基準値50ベクレルが検出されたら食材を使わない、ということでした。
放射性物質を体内に取り込む内部被曝は立証するのが非常に難しく、広島・長崎で長い間苦しんでおられる多くの被爆者の方々も、ウクライナベラルーシの子どもたちも、被曝の認定を受けられないでいます。
この給食の放射性物質測定については、国の基準は甘いとする専門家、それでよしとする専門家の両方の話をきいたり、生産者の声を聴いたりして、子どもたちの将来を私たち大人が守るための基準はどこにおくべきか、行政とも話し合いを積み上げていこうと思っています。
以上、市議会での大飯原発再稼働をめぐる取り組みの報告でした。