身近に歴史を背負った若者が

金融不安がとどまることなく渦巻いています。
商売人さんのところでも話題に。
「麻生さんは中小企業への融資を増やすために銀行に公的資金投入って言ってますが、融資増えると思いますか」と問いかけると、
「増えへんやろねー」とその商売人さん。
別の方は、夫さんが不動産業をされていて、景気の急激な悪化で頭を抱えておられるとか。
商売をされている方の景気や国の経済政策に対する感覚は、麻生さんが「政局より政策」と叫んでも、先行きますます厳しいです。
銀行にこの12年間で投入された公的資金は12兆4千億円。
それなのに、中小企業への貸し出しはその間に89兆円も減らされている・・・この数字が、商売人さん達の感覚を裏付けています。
国は、株や投資といったカジノ式経済の中で大もうけした分は、例えばたった10人の投資家には186億円も減税されていた、というように、大減税の恩恵をプレゼントしてきました。
そのカジノ式が失敗したら、今度は「公的資金だ」と言って、その損失分を国民に負担させる、なんてあまりにも甘い話です。
損した分は自分たちで責任をとる。
これが、当たり前の話です。
一方で、麻生さんが2015年までに消費税を10%にするために、徐々に税率を引き上げると、言いました。
これも、訪ねた先で話題に。
すかさず、「むかつきますよね」と、子育て中の若いお母さんの一言。
自公政権の経済政策、まったくこの一言につきます!
どこでも、「がんばってください」と言ってくださいました。
総選挙がいつになろうと、「むかつかない」政治に変えられるよう、結果を出したいです。


そんな、ひきこもごもの地域での活動の中で、700年の歴史を背負った若者に出会いました。
セブン通り沿いの中開田公園の向かい側に「林京石工房」と看板を下げられている家があります。
硯(すずり)石の職人さんの工房で、以前に、京都民報に取材記事が載ったと、人づてに聞き、身内の新聞なのに、その記事を読んでいなかったことを恥じつつ、訪ねてみました。

訪ねて、お話をきくと、実は、記事は京都民報ではなく、赤旗であったことがわかり、さらに赤面ものでした・・・。
そんな不肖な私を快く、その職人さんのお母様が中に入れてくださり、硯職人になられたいきさつをお話ししてくださいました。
その職人さん=林京石さんは、なんと、28歳という若さ。
さらに、700年の歴史をもつ雨畑(あめはた)硯の伝統の技を継ぐたった一人の職人さんです。
山梨県の雨畑硯職人の林知石さんのもとで4年間修行を積み、その師匠・知石さんから「京都からきた人」と「京石」の名を受けられました。
雨畑とは、山梨県にある地名で、そこでしか、しかもわずかしかとれない「幻の石」と言われる雨畑真石で作られる雨畑硯は、700年間書家達、墨に親しむ人々に愛されてきた伝統工芸なのだそうです。
師匠・知石さんは昨年亡くなられたそうで、もし京石さんが後継者になっていなかったら途絶えてしまった伝統です。
書も墨も硯も全く縁のない生活を送ってきましたが、聞けば聞くほどに「すごい!」「すごい!」をくり返すお話でした。
しかも、そのすごい人、長六小学校、長中、西乙訓高校卒業と、ものすごいジモティーな若者でした。
京石さんのお母さんとは、その後、伝統産業をいかに守るか、の話になり、政治の話にもなりました。
腕を磨き、いいものを創るのは職人の仕事。
でも、その伝統を守るのは、国・行政の仕事でもあります。
ヨーロッパでは、文化・伝統産業は、国が守る責任を果たして、国家予算を十分に確保しています。
京石さんのつくる硯は、石の質で値段が決まるそうですが、4000円くらいからあったので、庶民に手の届かない、ガラスケースの中の工芸品とは違います。
私も、知り合いに書を楽しんでいる人がいたら、お薦めしたり、プレゼントしようかな、なんて思いました。