会派視察・防災教育と買い物弱者対策

総選挙と同日投票で知事選挙が行われる東京都内の2つの自治体に、先週12日・13日、日本共産党市会議員団の会派視察に行ってきました。
一日目12日は、稲城市。視察テーマは、「防災教育」。
稲城市役所で
今年度から稲城市は、大災害が発生したときに組織的は救援・避難活動が行われるまでの時間に、小・中学校の子どもたちが、学校に待機することを想定し、一人ひとりの子どもが水・食料品のほか、自分にとって必要と思う物を準備し教室に保管しておく「子ども防災自助パック」の取り組みを始めました。
 保存期間3年の特別製
 アレルゲン除去の非常用ご飯
取り組みの背景には、東日本大震災を教訓に、大規模災害が発生したときに「むやみに移動を開始しない」「事業者は従業員者向けの3日分の水・食料などの備蓄をする」ことを目的にした、「東京都帰宅困難者対策条例」の制定があります。裏を返せば、稲城市内の子どもたちは、3日間保護者が帰ってこれない中で過ごす事態が起こる可能性があるということです。
実際に、3.11の震災発生の日、JR全線が運休になり、首都圏に勤める保護者はほとんど帰宅できなかったそうです。
そうしたとき、学校はまず、子どもの安全を確保する。子どももむやみに帰宅させてはならなくなります。
大震災を経験し、子どもにも、災害時には「互いに助け合う」「行政の支援を受ける」の大前提に「自分の命は自分で守る」を意識する防災教育が必要になりました。
そうしたことを授業で学び、学校で過ごさないといけなくなったとき、自分は何が必要か話し合い、家庭でも災害時にはどうすればいいか話し合い、小さなカバンに、水・非常食、自分宛に書いた励ましの手紙、家族の連絡先、家族からの励ましの手紙、懐中電灯などを入れて、教室に保管するようになりました。
おととし大きな地震と、そのときにお父さんやお母さんが家にいない、という事態を経験した子どもたちだから、こうした授業の受け止めはとても良かっただろうと思います。
長岡京市でも、こうした実践的な防災教育は、学校と家庭の両方で、子どもたちに「命を守る」具体的な行動を考える機会にもなるし、授業の教材が、万が一大災害がおきた時に活きてくるし、とても参考になりました。

二日目13日は、日野市。視察テーマは「買い物弱者向け宅配サービス」。
 日野市役所で
多くの地域で、高齢化が進むと同時に、景気の低迷や大型店の進出により、住まいのすぐそばにあった商店街が姿を消したり、食品や日用品を扱うスーパーが淘汰されるなど、住民が日常の買い物に不安を抱える「買い物弱者」が増え、社会的な問題になっています。
長岡京市でも、他人事ではなく、数年前にキタノスーパーや東部のスーパーが撤退するなどして、歩いて行ける範囲に買い物できる所がなくなった、という高齢者や障がい者が多くいらっしゃいます。
西友には、毎日何台ものタクシーが発着しています。歩きづらさを感じる高齢者の方には、ほんの1kmほどの距離がとても遠く、しかも帰りに重い荷物を持っては歩けない、というのは、現実におききしている声です。
日野市は、昨年10月から、お肉屋さん、豆腐屋さん、八百屋さんなど、生鮮食品の商店も多く加盟する市内商店会1ヶ所と連携し、「宅配便サービス」事業をはじめました。
サービスを始めるにあたり、65歳以上の市民3000人を対象に「買い物環境実態調査」アンケートを行いました。
結果、「あればいよいなと思う買い物困難の解決策」で一番多かった「宅配サービス」を実施する決断に至ったというものです。
事業には東京都の補助金を活用し、商店会の中の空き店舗を事務局兼シルバーサロン(市民の居場所)にして、サービスを希望する市民は、①電話で注文し宅配する、②商店会で買い物した商品を自宅に届ける、のどちらかを選びます(宅配料金は重さによって100〜200円)。
日野市のホープページより→http://www.city.hino.lg.jp/news/index.cfm/detail.198.104139.html
平日5日間のサービスで、宅配件数は今年4月1日〜10月31日で421件、事務局・シルバーサロン来店者数1544人で、商店会振興の一助にもなっており、加盟店からさまざまなアイデアも出されているとのことでした。
長岡京市内の商店街は、生鮮食品の商店が少ないので、買い物弱者対策も、また違うやり方が必要なのかもしれません。
このテーマで議会で一般質問したこともあります。
高齢者や障がい者が暮らしやすいまち、という福祉的な取り組みが地域経済の活性化と一体で進められたら、とても魅力的なまちづくりができると思います。
長岡京市では、市商工観光課が一般質問のあと、市内の主要スーパー全店舗に買い物弱者問題への実態調査を行ったり、社会福祉協議会が宅配サービスをしているお店のマップを発行しています。
商業振興・福祉の両面で、買い物弱者対策を市でも発展させていきたいです。